雑記帳~香りに関するつれづれ~

 

【いにしえの人々の鋭い感覚】

 お香の調合に使用する香料の中には、単品ではちょっと癖のある香りのものも存在します。

けれども、「ちょっと癖のある」香料達は、調合することによって単品での癖はどこへやら、芳香づくりに欠かせない要素として活躍してくれる、大変貴重な存在だったりします。

 このため、いにしえの人々は何故この原料が香料として役立つと気づいたのだろう、と不思議になることがしばしばあります。

 誰かの「こんな風に使ってみたらどうかな」という閃きや好奇心のおかげで、香料としての立ち位置を獲得したのかなぁ、などと想像してみたりも。

 「これは香料として使えるぞ!」と気づいた、いにしえの人々の鋭い感覚に対して感謝したくなります。

【香りは時を超える】

 現在、お香づくりに使っている香料は、悠久の時を超えて愛され、珍重されてきた貴重なものばかり。芳香を尊ぶ文化は洋の東西を問わず存在します。
 香りに触れることで、古代文明へのイメージが膨らみ、一瞬でタイムスリップするかのような感覚になることも。

 私が香料に魅せられる大きな理由の一つが、この「時を超える働き」です。
 香料への興味は尽きません。

 

【お預かりしている、という感覚】

 香原料を扱うようになってしみじみと感じるのは、「今、手元に物質として存在するもの全て、お預かりしている状態なんだなぁ」ということ。
 あたかも「自分のもの」であるかのようでも、仮の宿りにすぎないといいますか。自分の肉体も、いずれは灰となり大地に還る、仮の宿り。
 貴重な香原料が、縁あって私の所にある。それをどのように佳き香りに変容させ、これまた縁あった方にお渡しするか。
 今ここにあるものを大事にして、バトンタッチしていく。流れて巡る感覚が、ここ最近明瞭に感じられるようになってきました。

 

【感謝と歓びと】

 香りを作っている時間というのは、心からの歓びを感じるひとときであり、特にオーダーメイドでの香りづくりは、オーダーをくださった方への感謝の気持ちを強く感じます。「作らせてもらえる歓び」は何にも代えられない感覚です。

 

【あなたにとって甘さとは?】

 香りの表現として「甘い香り」という言葉はよく使われますよね。

 甘い香りは一般的に好まれるとも言われます。

 けれども、当然のことながら人によって想定している「甘さ」は違いますね。

 普段の生活で「甘い」といったら、バニラ・キャラメル・チョコレートなどのお菓子系やフルーツといった食べ物由来の甘さか、お花の香りのような甘さがぱっと思いつくでしょうか。

 和の香りの表現として、天然香料を主体として作る香りの甘さはちょっと違います。

 慣れないと「これでも『甘い』の範疇に入るのか~」という感じもあるかもしれません。

 白檀にも甘さはあるし、ハッカにも草のほんのりした甘さがある。

 また、香料の組み合わせによって「甘さ」を出すこともできます。

 くっきりした分かりやすい甘さではなく、繊細な甘さ、という感じでしょうか。

 甘さの表現一つとってみても非常に奥深いものがあります。

 これからも、匂ひ袋や塗香づくりに際して「甘さ」のみならず表現の幅をどんどん広げていきたいと考えています。

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